一旦、お部屋に戻る。
玄関にあるスニーカーが、わたしとおそろいだった。
有名スニーカーブランドの人気シリーズだけど、同じカラーの人を初めて見た。
ファッションの好みが合うかもしれない。
「落ち着きました?」
「ん?わたしは慌てない人間なので、ずっと落ち着いてます」
そう言う彼はずっとウロウロしていた。
「自分ちなんだからくつろぎなよ」
「近くに広い公園あるんで、散歩でもします?」
「お散歩もいいですね〜、でも35分の電車で帰ります」
もうちょっと話したいな、くらいで帰るほうが、また会ってもらえる気がする。
「駅まで送ります」
「いいの?ありがとう、嬉しい」
信じられますか?
先週まで、デート帰りは逃げるように去っていたわたしの口から「嬉しい」とは。
駅まで並んで歩く。
深夜だからかまわりに全然人がいなかった。
「第1村人発見!遠くに」
「村人ってか街人やん」(ギャルだった)
「ははは」
「にこさんは自分に自信あります?」
「あるよ」
「あるんや」
「うん!美人だとは全く思ってないけど、気が利くし優しいし、クリエイティブで、芯があって、いい奴だよ?」
わたしは、わたしなんて、、、って言ってる人には魅力を感じない。
日本人の謙遜があまり好きじゃない。
「わたしはSくんの外見はどうでも良くて、生命体としてとっても素敵だと思ってるよ」
Sくんのことを、見た目で好きになったわけじゃないよ。と、言いたかったけど、ほぼ告白になるのでやめた。
「生命体てなんやねん。笑」
「あはは!生きようとしてる感じ?」
「会ってみて僕の印象どうでした?」
「もっとモサいと思ってた。笑」
「え?」
「LINEのアイコンでは髪が長かったから」
「ああ」
「わたしはどうだった?イメージどおり?」
「小さかった。あとモサくなかった」
「ふふふ。身長何cmです?」
「174」
「じゃあ20cm以上差がある」
「20cmか、ちょうどええな」
「なにに?」
駅に着いた。
「着いちゃった!送ってくれてありがとう。ここで大丈夫!」
スタスタ、、、
彼はそのままエスカレーターを下っていく。
あれ。聞こえなかったかな?
「花火がなくてもまた来てくれます?」
え。
トスッ
なにそれ。こっちも見ずに。
かわいいかよ。
「今日、わたし花火しに来たんじゃないよ?」
「ん?」
「会いに来たの。花火がしたくて来たわけじゃない」
「じゃあ今度は、、、うーん、、、うちで飯作ってください」
「それは嫌。笑」
一緒に食事したこともないから好みもわからない人に、使い勝手のわからないキッチンで料理するのはハードルが高い。
改札前まで送ってくれてバイバイした。
わあ、なんか、良い夜だったな。
電車に乗るとしばらくしてLINEが鳴る。
「来てくれてありがとうございました。良い夜でした」
わあ、同じこと言ってる。
顔がニヤける。
なんか、いつものおふざけブログと違ってごめんなさい。
これはこれでわたしに起きたノンフィクションなのです。
エモのエモエモです。
たぶん続く。
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