おかしな話だ。
何度も何度も、長い時には4時間も(!)電話で話してるのに、どんな性格で何に興味があって、何が好きで何をされたら嫌で、今どういう状況なのか知っている。
こんなこと誰にも話したことない、って話も聞いたしわたしも話した。
なのにその人とは会ったことがない。
「会いに行ってもいい?」
半年前の最後の会話は、
「にこさんのことを良いなと思っている。けど(仕事が寝る時間もないくらい多忙で)土俵に上がれてない。
にこさんに会いたくない。会って「こんな奴か」ってガッカリされるのが嫌や」
と、言っていたので、返事がくるまではどきどき。
「ついに会いますか」
ついに???
そのとおりなんだけどラスボス感!
やったー!!!
やっと会えるぞ!!!うれしい!!!
その後電話がきて、
「まだ仕事してて。今ちょうど最後の奴が帰ったんでかけちゃいました」
「え、どうする?こういう時、食事とか飲みにでも行くのが普通なんだろうけど、もうわたしたちの関係性が普通じゃないからな〜」
「そやな、、、俺はもう、ダラダラ喋れればいいんやけど」
「お散歩でもする?夏らしいこともしたいけど、暑いか」
「花火でもします?」
「それ思った!あり!!」
「まあ他になんかあったら言ってください。僕も調べておくんで」
ということで、彼の自宅マンションの屋上で花火しよう、と。
初対面で自宅、、、
とは よぎったけど、真夏で暑いし、いまさら食事ではじめましては気まずい。
なにより人となりがわかってるので、変なことはしてこない人だって知っている。つもり。
は〜、楽しみだなあ。
それから2週間後。
「いつ会います?」
「いつが会えるんだい?」
「明日の晩は?」
「明日は泊まりで仕事なの。土日は1ヶ月くらい先になっちゃう」
電話がかかってくる。
「明後日はどうすか?」
「ありがとう、空いてる!」
その後、ひとりカラオケ中の彼に曲をリクエストして、電話越しに一緒に歌うという謎の時間。
なにこれ。笑
backnumberの水平線。
あいみょんのマリーゴールド。
他の音楽の趣味は全く合わなそうだった。笑
わー!何着ていこう?アクセサリーはどれにしよう?メイクとヘアスタイルはどうしよう?
1mmでも多く可愛いと思われたい♡!
外の炎天下でのお仕事だったので、髪はパサパサ、肌は日焼けして、汗疹までできて、全身むくんでる。
よりによって1年でいちばん最悪のコンディション!!?
でも、超面食いのわたしが、初めて顔以外で好きになったし、相手もそうである、はず。
わたしの中身を見てくれているはず。
ひとつだけ心配なのは、どちらかが一瞬で「あっ、生理的に無理」ってなることかな。笑
わーどうしよう、なんて会話しよう?
バチェラーデートで鍛えたトークスキル、初対面の人にしか効かない!?
彼は初対面だけど何十時間も話してるからなあ。
そもそもわたしよりトークスキル高いからな、、、
なんて考えて、疲れているのに全然寝れない。
ただでさえコンディション悪いのに、寝不足なんてたまらん。
当日、住所が送られてくる。
「20時30分には家に帰るんで」
「はーい!」
「トラブル起きて21時30分くらいになります、すみません」
「はーい!頑張って!」
「花火は帰りに買って行きます!タクシーで来る?出すよ!」
「花火ありがとうございます!電車で向かってるから大丈夫!」
「了解」
「ごめん、急病人で電車が止まっちゃった、、、」
なかなか会えない。
やっと彼の自宅の最寄り駅に着いたのが22時。
出口で男性に声を掛けられる。
「こんばんはー!」
わっ。
「こんばんは!」
(条件反射)
えっ?
「暑いですね〜」
えっ??駅まで来てくれてたの?
「ほんとですね〜」
「もうごはん食べました?」
「いえ、食べてないです」
「じゃあ一緒にどうですか?」
えっ???
駅まで迎えに来てくれた?
ごはんに行く話はしてないよね、、、?
なにより、なんでわたしがわかった??
LINEが鳴る。
「出口わかんなかったら連絡して〜」
えっ?????
「この後予定とかあるんですか?」
うおおおおおい!!
目の前の男は、シンプルに誰やねん。
「すみません、約束してるので」
今日に限って、紛らわしいことすな!!!
ほんとに、なかなか会えない。笑
駅から徒歩5分、彼の自宅に到着!
どきどきどきどき、、、
ピンポン気まずい。電話する。
「おまたせ!マンションに着きましたー!」
「あ、着いたー?」
カチャリ。
玄関ドアが開く。
ちらっと、日に焼けた腕が見えた。
つづく
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